その日、世界はちんぽに埋め尽くされた。
「は?」
人々は手にしたスマートフォンから顔を上げ、都会の高層ビル、その隙間から久しく見ていなかった空へと視線を向けた。
唖然と大口を開け、天を指さし、そして取り落としかけたスマホをいったん握りだすと、随分と興奮した口調で口々にそれらを指さした。
ちんぽだった。
地面を割り、地響きをたて雄々しくそびえたつちんぽ、ちんぽ、ちんぽ。
目の前で今もチンポたちが地面から生えてくるその珍妙奇天烈な光景に、全世界中の人間が注目したのは言うまでもない。
「はぁ?」
そしてそう、ルナもその一人だった。
シェナから最後の精子を受け取りセクヴをついに打倒したあの日から早数年、ただの一人のロリと化したルナは、過行く日々に流されるまま生き、そしてこの日を迎えた。
だがまさか流れの中で一瞬でもとどまった理由が、地面から無数に起立する巨大なチンポたちによるものだとは、いったい誰が想像しただろうか。
一度瞬き、二度目をこすり、三度チンポをストロークして射精したのち、ルナはこれが現実であるとようやく認識した。
いや、認識せざるを得なかった。
なにせどんな行為にふけようとも、空にすら届きそうな巨大なチンポたちは決して消えることなく、今もなおビクビクと脈動を繰り返しているのだから。
すわ、いったい何なのだこれは。
天変地異の前触れか? いや、このチンポまみれの世界こそが天変地異の結果ではないのか?
無数の言語が絶え間なく流れ行くタイムラインをしばらく眺めていたルナだったが、今日はもう何の意味もなさないと電源を落とし、止まった人々を押しのけて冷たい石畳の上を歩きだす。
「まったく、いったい何が起こってるの?」
黒々としたチンポの影を横切る度、ルナのため息は増すばかりだ。
おそらく世界の高名な科学者どもを並べたところで、正解の一端すらつかめないであろう疑問を虚空へと投げかけ、ルナはうんざりするように首を振った。
何を考えたってちんぽのことしか頭に思い浮かばない。
今日明日、いや下手すればこれから一か月たとうと、同じことを考えている。
『――!』
その時だ!
一帯へ金切り声が響いた!
それは彼女、空を指さしている少女が発したものだ!
「え?」
ルナだけじゃない。
固唾をのみチンポを眺めていた周囲の人々、その誰もが彼女へと視線を向けた。
そして指さした先へと視線を向け――
「――あっ」
白い寒空の中、それは振り出した。
ほほを伝う生ぬるい感覚、栗の花のような生臭さ。
精子だ。
精子が降り注いだ。
あの地面から起立したチンポ、その一つが激しい脈動と共に、世界へと振りまいた。
突然の急転から口々に騒ぎ立てる人々。
さすがのルナもこれには仰天。いや、ちんぽが射精をするのはおかしなことじゃない。だがそれにしたってあのサイズのチンポが射精だなんてばかげた話、なんにでも限度がある。
誰もかれもがみな同じ行動をした。
スマホを掲げ、その様子を撮影し始めた。ルナももちろん、同じことをしようとスマホのロック画面へ視線を向けた。
けれどもそれは序章に過ぎなかったのだ。
びくり。
びくり……ビクリ。
ビュルルルルルルルルルルルルッ!!!!!!!!!!!!びゅううううううううう!!!びゅっぶう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
はじめは一本のチンポから始まった射精が伝播していく!
二本のチンポが、日本のチンポが、世界のチンポたちが! ルナの目の前で始まった雄大な射精ショーが一斉に花開いていく!
大量の精子が地面を埋め尽くし、空を埋め尽くし、人々は精子に流されていく!
さながら洪水、ノアの大洪水だ!
もはや色などあってないもの。緑も、赤も、黒も、すべてが白へと染まっていく。
「ああ、そっか」
目前へと迫る白の奔流。
それを目の端で捉えながらも、ルナは決して逃げ出したりなどしなかった。
すべてに気づいたから。
日々に流される中、すっかり忘れていた。
ルナの握るスマホの画面に映っていたのは……12月25日。
この時期、都会に雪は降らない。
ここに住み始めてからずっと、心の端ではわずかなさみしさを感じていた。それはきっと、自分の幼いころの記憶が、幸せだったころの記憶が囁いていたから。
でも今日は大丈夫。だってみてよ、この一面の『白』を。
いつの間にか浮かべていた満面の笑みを自覚しながら、ルナは大きく両手を空へと突き上げてぽつりとつぶやいた。
パパとママがいたあの日のように、記憶の中で崩れかけた同じ日のように。
「めりーくりすます!」
そして世界は白になった。
「は?」
人々は手にしたスマートフォンから顔を上げ、都会の高層ビル、その隙間から久しく見ていなかった空へと視線を向けた。
唖然と大口を開け、天を指さし、そして取り落としかけたスマホをいったん握りだすと、随分と興奮した口調で口々にそれらを指さした。
ちんぽだった。
地面を割り、地響きをたて雄々しくそびえたつちんぽ、ちんぽ、ちんぽ。
目の前で今もチンポたちが地面から生えてくるその珍妙奇天烈な光景に、全世界中の人間が注目したのは言うまでもない。
「はぁ?」
そしてそう、ルナもその一人だった。
シェナから最後の精子を受け取りセクヴをついに打倒したあの日から早数年、ただの一人のロリと化したルナは、過行く日々に流されるまま生き、そしてこの日を迎えた。
だがまさか流れの中で一瞬でもとどまった理由が、地面から無数に起立する巨大なチンポたちによるものだとは、いったい誰が想像しただろうか。
一度瞬き、二度目をこすり、三度チンポをストロークして射精したのち、ルナはこれが現実であるとようやく認識した。
いや、認識せざるを得なかった。
なにせどんな行為にふけようとも、空にすら届きそうな巨大なチンポたちは決して消えることなく、今もなおビクビクと脈動を繰り返しているのだから。
すわ、いったい何なのだこれは。
天変地異の前触れか? いや、このチンポまみれの世界こそが天変地異の結果ではないのか?
無数の言語が絶え間なく流れ行くタイムラインをしばらく眺めていたルナだったが、今日はもう何の意味もなさないと電源を落とし、止まった人々を押しのけて冷たい石畳の上を歩きだす。
「まったく、いったい何が起こってるの?」
黒々としたチンポの影を横切る度、ルナのため息は増すばかりだ。
おそらく世界の高名な科学者どもを並べたところで、正解の一端すらつかめないであろう疑問を虚空へと投げかけ、ルナはうんざりするように首を振った。
何を考えたってちんぽのことしか頭に思い浮かばない。
今日明日、いや下手すればこれから一か月たとうと、同じことを考えている。
『――!』
その時だ!
一帯へ金切り声が響いた!
それは彼女、空を指さしている少女が発したものだ!
「え?」
ルナだけじゃない。
固唾をのみチンポを眺めていた周囲の人々、その誰もが彼女へと視線を向けた。
そして指さした先へと視線を向け――
「――あっ」
白い寒空の中、それは振り出した。
ほほを伝う生ぬるい感覚、栗の花のような生臭さ。
精子だ。
精子が降り注いだ。
あの地面から起立したチンポ、その一つが激しい脈動と共に、世界へと振りまいた。
突然の急転から口々に騒ぎ立てる人々。
さすがのルナもこれには仰天。いや、ちんぽが射精をするのはおかしなことじゃない。だがそれにしたってあのサイズのチンポが射精だなんてばかげた話、なんにでも限度がある。
誰もかれもがみな同じ行動をした。
スマホを掲げ、その様子を撮影し始めた。ルナももちろん、同じことをしようとスマホのロック画面へ視線を向けた。
けれどもそれは序章に過ぎなかったのだ。
びくり。
びくり……ビクリ。
ビュルルルルルルルルルルルルッ!!!!!!!!!!!!びゅううううううううう!!!びゅっぶう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
はじめは一本のチンポから始まった射精が伝播していく!
二本のチンポが、日本のチンポが、世界のチンポたちが! ルナの目の前で始まった雄大な射精ショーが一斉に花開いていく!
大量の精子が地面を埋め尽くし、空を埋め尽くし、人々は精子に流されていく!
さながら洪水、ノアの大洪水だ!
もはや色などあってないもの。緑も、赤も、黒も、すべてが白へと染まっていく。
「ああ、そっか」
目前へと迫る白の奔流。
それを目の端で捉えながらも、ルナは決して逃げ出したりなどしなかった。
すべてに気づいたから。
日々に流される中、すっかり忘れていた。
ルナの握るスマホの画面に映っていたのは……12月25日。
この時期、都会に雪は降らない。
ここに住み始めてからずっと、心の端ではわずかなさみしさを感じていた。それはきっと、自分の幼いころの記憶が、幸せだったころの記憶が囁いていたから。
でも今日は大丈夫。だってみてよ、この一面の『白』を。
いつの間にか浮かべていた満面の笑みを自覚しながら、ルナは大きく両手を空へと突き上げてぽつりとつぶやいた。
パパとママがいたあの日のように、記憶の中で崩れかけた同じ日のように。
「めりーくりすます!」
そして世界は白になった。
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